
COLUMN
第7回 森川海人っ感謝状贈呈式レポート
2025年1月25日、佐賀県庁(県民ホール・SAGA CHIKA)にて「森川海人っサミット」を開催しました。
第一部では、高校生による森川海の環境保全に関する調査・研究成果発表、森川海人っ感謝状贈呈式、第二部では、You Tuber釣りいろはさんのトークショーやサイエンスカフェ、チーム森川海人っによるパネル展示・交流会が行われました。
本レポートでは、森川海人っ感謝状贈呈式の受賞者・団体の活動内容及び受賞コメントを紹介します。
森・川・海の保全活動等が顕著な個人や団体等を表彰する「森川海人っ感謝状贈呈式」。今年度は、5つの団体・個人を表彰しました。それぞれの活動内容と受賞コメントを紹介します。
森部門:諸富家具振興協同組合

<活動内容紹介>
木製家具の新商品デザインなどの研究開発、官公需品(木製家具)の共同受注などを目的に1979年7月に設立した組合。諸富家具のブランド化、商品開発、魅力発信と多岐にわたって活動。県内の森林組合と連携することで地域林業の振興にも寄与している。
近年は、小物や記念品の制作、ワークショップの実施により木材の活用および多くの人が気軽に木材に触れる機会の創出に努める。
組合及び組合員が「チーム森川海人っ」に登録しており、森川海人っプロダクトの中には組合員が開発したものも複数登録されている。
<コメント>
家具の製作には木材を使うので、森林の大切さは常々感じています。今回、賞をいただいたことは非常に光栄ですし、今後も森林の保全をリードしていく存在でありたいです。
近年は、組合に所属する二社が『ARIAKE』というブランドを立ち上げ、県産木材を使用した家具を海外にも輸出しています。今後も、オールメイドイン佐賀のものづくりの付加価値、ストーリーでブランドの価値を高めていきながら、県産木材および佐賀の魅力を家具づくりを通して国内外にPRしていきます。
川部門:川田修三さん

<活動内容紹介>
2019年にみやき町へUターンし、本業をつづけながらSAGASOW(佐賀センスオブワンダー)自然体験教室を設立。カヌーなどの自然体験ツアーを中心に、近年では、有明海の干満を利用してオールを漕がずに川を往復する「六角川カヌー散歩」やレジャー感覚で山や地域、自然の中で自転車、カヌー、登山等を楽しみながら、地域の素晴らしさを肌で感じる「レジャートライアスロン」などを精力的に企画、実施している。そのほか、「山の学校」の活動として、江北町の中山間地域での農業体験や自然遊びなども行っている。
<コメント>
県から表彰されることは目標の一つでした。「SAGASOW(佐賀センスオブワンダー)自然体験教室」の設立4年目で達成できてうれしく思います。
自然に触れる第一歩として「とにかく楽しい」と思ってもらいたい、という思いで活動してきました。特に、カヌーは昨年だけで40回以上実施しました。
ありがたいことに学校関係者からのオファーが増えたり、レジャートライアスロンをさまざまな地域で広げたいという思いがあったり、ということを踏まえて、今後は教育と観光の2つをメインの軸として活動していきます。
今回の受賞に見合った努力、活動をつづけていきたいです。
川部門:さがクリークネット

<活動内容紹介>
佐賀市内の街中に張り巡らされたクリークに関する活動を通じ、地域資源を生かした都市環境の実現を目的として2017年に設立。
さまざまな人、団体、企業、大学などと一緒に、船着場づくりやマルシェなどの水辺利用、和舟・カヤックでの体験など実践的なまちづくり活動を続けている。
佐賀の将来の全体像を見据え、街なかの魅力の一つとして、歴史ある佐賀のクリーク文化を発展に寄与している。
2023年8月〜10月には「水辺フェスティバル2023」を開催。佐嘉神社横を流れる松原川にて、川床を設置し、水辺に親しむイベントを行った。
<コメント>
さがクリークネットは、「佐賀の水路文化を普段使いする」という大きな目標のもとさまざまな活動を行ってきました。
昨年は、松原川に誰もが自由に使える川床を設置しました。SNSを通じて県外の方からも問い合わせがあったり、実際に訪れる方がいらっしゃたりと反響を感じています。
今回の受賞が、より多くの県民の方に活動を知っていただくきっかけになったら嬉しいです。
今後は、川床の増設や市民の皆さんとの清掃活動、和舟での街中巡りなどを引き続き行っていきます。
海部門:山田美恵子さん

<活動内容紹介>
令和2年に佐賀県漁協女性部連合会の会長に就任。わかしお石けん(※)の推進活動や海岸清掃など、海洋環境を守る取り組みについてリーダーシップを取りながら県下女性部に呼びかけている。
2024年1月には、東京・池袋で行われたFish-1グランプリに全国漁業女性部連絡協議会として出展。オリジナル石けんをつくることができるワークショップを行い、来場者から大きな反響を受けた。
※食用油脂とアルカリ成分から作られる人と環境に優しい石けん。一般に市販されている合成洗剤に比べ生分解性が高く、分解後の残り物質も海洋生物の餌になるという特徴がある。
<コメント>
昨年のFish-1グランプリでは、小さな子どものいるお母さんたちが石鹸づくりのワークショップに大勢いらっしゃって環境への興味の高まりを実感しました。
有明海ではノリを作っていますから、ゴミの問題は切実になんとかしなければなりません。海の環境を守ることと、わかしお石鹸と、ノリ漁とすべてはつながっています。
今後は、小学校などでわかしお石鹸を広める活動を行いたいです。
海部門:株式会社まるきん

<活動内容紹介>
釣り・アウトドア用品の小売り・販売を行っている。
30年以上、伊万里湾周辺の釣り場の環境保全活動に取り組んでいる。特に、2023年度の清掃活動は年50回を超えるなど精力的に行っている。また、地域の子どもたちと一緒に稚魚放流活動にも取り組み、森川海のつながりの大切さを子どもたちへ教える環境啓発活動も積極的に行っている。
令和4年11月には第4弾となる「森川海人っ森づくり協定」を締結。「豊かな森は豊かな海を育み、豊かな海は豊かなおさかなを育む」との想いで森林環境保全に取り組んでいる。
<コメント>
感謝状をいただいて、30年以上活動を行ってきた甲斐があったなと思いました。
ここ数年は、森川海人っプロジェクトが始まったことにより、長年興味があった植樹イベントに参加することができました。やはり森、川、海はつながっていますし、関東や関西の企業さんから植林の話を聞いてやってみたいなと思っていたので。植樹イベントに参加して、他の団体さんとの横のつながりができたのも嬉しかったです。
今後は、他団体さんと共同の清掃活動や、多くの釣り人に海と山、川のつながりを伝えることに力を入れて活動していきます。
知事挨拶

贈呈式後、佐賀県知事・山口祥義氏の挨拶がありました。
「本日集まっている皆さんはそれぞれ保全活動に取り組んでいらっしゃいます。心より敬意と感謝を申し上げます。地球の環境を守り、子どもたちに渡していくためには少しずつだとしてもみんなが取り組む必要がある。森川海人っプロジェクトは、2017年の九州北部豪雨をきっかけに始まり、今年で8年目。まだまだ認知度を上げていかなければなりません。本日ここにいる皆さんにそれぞれの地域や所属する団体で活動を広めてもらえると嬉しいです。」
このほか、2026年運営開始予定の世界海洋プラスチックプランニングセンター(仮称)についての紹介もありました。
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
森川海人っプロジェクトは引き続き、森・川・海、そして人とのつながりを見つめ直し、未来につなげる活動に取り組んでまいります。